スマホが、お宅のネコの写真をひとつのアルバムにまとめてくれました。お子さんが聞きます。「どうして、これがネコだってわかるの?」。スマホに「耳がとがっていて、ひげがあればネコ」というきまりを書いて教えた人はいません。実際には、機械に「ネコ」「ネコじゃない」と答えのついた大量の画像を見せて、共通点を機械が自分で見つけたのです。このような学び方を機械学習といいます。
この記事では、8〜12歳のお子さんが機械の役になる絵カードのゲームを紹介します。遊び終えるころには、機械が例から学ぶしくみと、さらに大切な「機械がときどき間違える理由」がわかるようになります。
機械は、答えのついた例から学ぶ
機械にネコとイヌを見分けさせる方法は、大きく二つあります。
- きまりを書く: プログラマーが「耳がとがっていて、ひげがあればネコ」のように全部書きます。これは大変です。耳が折れたネコ、耳のとがったイヌ、後ろ姿のネコの写真などがあるからです。
- 機械に学ばせる: 人がたくさんの画像を集め、それぞれに正しい名前(「ネコ」か「イヌ」)のラベルをつけます。機械はそれを何度も見ながら、ほとんど当たるようになるまで予想のしかたを調整します。そのあと、ラベルのない新しい画像を見せられると、予想を出します。
機械は、ネコが何かを理解しているわけではありません。これまで見た例のなかで、「ネコ」というラベルによくついていた特徴を見つけているだけです。よい例からはよい予想が、悪い例からは悪い予想が生まれます。次のゲームでは、それをお子さんが自分の手で確かめられます。
カードを作る
手のひらサイズの厚紙を20枚ほど、色ペン、そして「先生」役(たいていは保護者の方)を用意します。
- 一枚ずつ、とても簡単なネコかイヌをかきます。耳がとがっているか垂れているか、ひげがあるかないか、毛がオレンジ、黒、白、まだらのどれか、しっぽが長いか短いか、というふうに、少しずつ変えます。
- 各カードの裏に、「ネコ」か「イヌ」のラベルを書きます。
- カードを二つに分けます。練習カードが12枚ほど、残りがテストカードです。テストカードは、まだお子さんに見せません。
絵はじょうずでなくて大丈夫です。少しゆがんでいるくらいのほうがよいでしょう。本物の機械も、ぼやけた写真や傾いた写真をあつかうからです。
ゲーム:お子さんが機械になる
第1ラウンド:練習。 お子さんが練習カードを一枚ずつめくり、絵を見て、裏のラベルを確かめます。気づいたことをメモしてもかまいません。「ネコはひげがあることが多い」「イヌは耳が垂れていることが多い」など。これがお子さん自身の予想のしかたで、機械が学んだあとに見つけるものと同じです。
第2ラウンド:テスト。 テストカードを、絵が見えるように一枚ずつ見せます。お子さんは「ネコ」か「イヌ」かを答えて、理由を言います。カードを裏返して確かめ、当たった数を数えます。
第3ラウンド:もっと練習。 間違えたカードを練習カードに加えて、お子さんは予想のしかたを直します。新しいテストカードを何枚か使って、もう一度遊びます。たいてい、点数が上がります。本物の機械もこうして学びます。間違えたところを直して、それを何度も何度もくり返すのです。
各ラウンドのあとで、聞いてみましょう。「何がいちばん役に立った? 何でだまされた?」
機械が間違ったことを覚えるとき
いちばんおもしろいのは、わざと下手に教えて、何が起こるかを見ることです。ひとつずつ試してみましょう。
- 例が少なすぎる: 練習カードを3枚だけ見せて、テストをします。お子さんは勘に頼ることが増え、間違いも増えます。
- 例がみんな似ている: 練習カードのネコをすべて黒、イヌをすべてオレンジにします。テストでオレンジのネコが出ると、お子さんは「イヌ」と答えるかもしれません。「黒ならネコ」という予想は練習カードには合いますが、現実の世界には合いません。
- 関係ないことを覚える: イヌはすべて緑の草の上に立つ絵、ネコはすべて椅子にすわる絵にします。テストでは、草の上にいるネコをかきます。お子さんはイヌと答えるでしょうか。本物の機械も、動物ではなく背景を見てしまうという、同じような間違いをすることがあります。
- ラベルが間違っている: 練習カード2枚のラベルを、こっそり入れ替えます。お子さんの予想がずれていくのがわかります。
そのたびに、いっしょに声に出してみましょう。問題は「機械」(お子さん)ではなく、機械に与えられた例にあるのだと。
よい例が大切な理由
このゲームから、お子さんは、学ぶ機械を作る人がいつも考えていることをいくつか自分で見つけられます。
- 数が足りている: 例が多いほど、機械が当てずっぽうで答える場面が減ります。
- いろいろある: 毛の色、形、背景などがさまざまだと、機械が関係のないことにこだわらずにすみます。
- ラベルが正しい: 間違ったラベルは間違ったことを教えてしまい、機械はそれに気づけません。
- 確かめる人がいる: 機械はとても自信ありげでも間違うことがあるので、人が確かめる必要があります。
10〜12歳なら、もう少し先まで話せます。声、手書きの文字、顔を見分ける機械も、例から学びます。ある種類の声や文字が例に入っていないと、機械はそれが苦手になります。だから機械を作る人は、例を慎重に、かたよりなく選ばなければなりません。
年齢はあくまで目安で、子どもによってちがいます。6〜7歳の子も、カードを減らして第1・第2ラウンドなら楽しめます。
共通点を見つけて、グループに分ける。これはこのゲームでお子さんがしていることであり、機械が学ぶときにしていることでもあります。Dologiの「さんすう」テーマにある「はこに わけよう」では、さいころの目の数のような特徴をひとつ選んで、物を正しい箱に入れます。ちがいは、お子さんが「なぜそう分けるのか」を理解していることです。
まとめ
- 機械は、答えのついた例をたくさん見て、共通点を見つけながら学び、新しいものを予想する。
- ネコとイヌのカードを使う「機械に教えよう」ゲームでは、お子さんが機械の役になって、練習、テスト、もっと練習をくり返す。
- 例が少ない、みんな似ている、ラベルが間違っていると、機械の予想ははずれる。
- 機械は人のように理解するわけではないので、よい例と確かめる人が大切。
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