手をはなすと、風船はヒューッと音を立てて、ひもにそって部屋のむこうまで飛んでいきます。ほとんどの子どもが同じことを言います。「もういっかい!」
風船ロケットは、おし出す力についての小さな実験です。家にあるもので、10分でしかけられます。しかもそこから、問いがつぎつぎに生まれます。大きい風船のほうが遠くまで行く? ひもをななめにしたら? そもそも、どうして風船は動くの?
用意するもの
- 3〜5メートルのひも:毛糸、ガーデニング用のひも、つり糸のどれでも使えます。
- まっすぐなストロー1本。
- 風船を数個(長いものでも丸いものでも)。
- テープと、洗濯ばさみかクリップ。
- いすを2つ(ドアのとってや、テーブルの脚でも)。
気持ちよく進めるためのポイントです。
- 小さな子どもの場合は、おとなが風船をふくらませるか、手でおす風船用ポンプを使います。
- 風船がわれたら、かけらをみんなでひろって、すぐにかたづけます。
- ひもは、人が通らない場所にはりましょう。ひっかかる人が出ません。
コースをつくって飛ばす
- ひもをストローに通します。
- ひもの両はしを、それぞれいすの背もたれにむすびます。いすを引きはなして、ひもをぴんとはります。
- 風船をふくらませますが、口はむすびません。洗濯ばさみで口をとじるか、だれかにつまんでいてもらいます。
- 風船を、2本のテープでストローにとめます。口はスタートのいすのほうにむけます。
- 風船をスタートのいすまでもどし、いっしょにカウントダウンして、手をはなします。
風船は、反対がわのいすにむかって飛びます。止まった場所に、スリッパやテープで、ひものまうえのゆかにしるしをつけましょう。
どうして風船は動くの?
風船ののびたゴムは、輪ゴムのように、中の空気をぎゅっとおしています。口が開くと、おされた空気がうしろから勢いよく出ていきます。風船は空気をうしろへおし、空気は風船を前へおします。この力が「おし出す力」です。
子どもは、これを自分の体で感じられます。スケートボードの上や、すべすべのゆかの上でくつ下をはいて、かべをおしてみましょう。かべを一方へおすと、体は反対のほうへすべります。
ひもとストローは、風船をまっすぐ進ませます。ひものない風船を飛ばしてみると分かります。進む方向を決めるものがないので、部屋じゅうをジグザグに飛びまわります。また、ストローがひもにこすれるぶん、風船は少しおそくなります。これがまさつです。
最初からぜんぶ説明する必要はありません。まず「風船はどうして飛ぶと思う?」とたずねて、聞いてみましょう。少しまちがっている考えも、ためしてみるよい出発点になります。
1つだけ変えてためす
飛ばすのになれてきたら、遊びを実験にしてみましょう。変えるのは1つだけで、ほかはぜんぶ同じにします。風船を大きくして、同時にひもも急にしてしまうと、何がちがいを生んだのか、だれにも分からなくなります。
| 変えること | 先にたずねる問い |
|---|---|
| 大きい風船か小さい風船か(息の数を数える) | 空気が多いと、風船は遠くまで行く? |
| 水平なひもか、のぼりのひもか | のぼりだと、遠くまで行く? それとも近く? |
| 長いストローか短いストローか | ストローがひもにもっとこすれたらどうなる? |
| つるつるのひもか、毛羽立った毛糸か | ざらざらしたひもだと、風船はどうなる? |
「大きい」と「小さい」をいつも同じにするために、息の数を数えます。たとえば、小さい風船は5回、大きい風船は10回です。こうして数えることも、はかることのひとつです。
足のはばではかる。 子どもがスタートのいすから風船が止まった場所まで、かかととつま先をくっつけて歩きながら数えます。足の大きさは人によってちがうので、はかるのはいつも同じ人にしましょう。それぞれの方法を3回ずつ飛ばします。まったく同じ手のはなしかたはないからです。あるご家庭の表は、こんなふうになるかもしれません。
| 方法 | 1回め | 2回め | 3回め |
|---|---|---|---|
| 小さい風船、水平なひも | 7歩 | 8歩 | 7歩 |
| 大きい風船、水平なひも | 12歩 | 11歩 | 13歩 |
| 大きい風船、のぼりのひも | 8歩 | 9歩 | 8歩 |
おうちでの結果はちがうかもしれません。それこそが、この実験のおもしろいところです。
結果をいっしょに説明する
数はまだ実験の半分です。もう半分は「どうして」です。
- 予想して、わけを言う。 それぞれの方法の前に、風船が止まりそうな場所にスリッパを置き、そのわけを話します。
- 予想とくらべる。 風船はスリッパの手前で止まった? それともむこう? 次はどう予想を変える?
- 自分のことばで説明する。 「大きい風船は空気が多いから、長くおすんだよ」「のぼりだと、風船は自分も持ち上げなきゃいけないんだ」
- ふこうへいなところをさがす。 どこかの回で、おかしなことはなかった? 風船がねじれた、ひもがたるんだ、手をはなすのが早かった。そんなときは、もう一度やり直します。
| めやすの年齢 | やってみること |
|---|---|
| 6〜7歳 | 歩数を数える。「遠い」「近い」と言う。スリッパで予想する |
| 8〜9歳 | 3回分の表をうめる。息の数を数えて風船の大きさをそろえる。いちばん遠い回を見つける |
| 10〜12歳 | メジャーではかる。3回の平均を計算する。自分で問いを考えて、新しいためしかたを組み立てる |
年齢はあくまでめやすで、子どもによってちがいます。
Dologiの「ろんり」にある「つまった はぐるま」は、ひとつの単純なルールでできています。ふれあう2つの歯車は、反対向きにまわる、というルールです。子どもはこのルールを使って、セット全体を止めている歯車を見つけます。これは、ひとつのものがほかのものをどう動かすかを考えることでもあります。
まとめ
- ひもとストローと風船があれば、おうちでおし出す力の実験ができます。
- 風船は空気をうしろへおし、空気は風船を前へおします。ひもとストローがまっすぐ進ませます。
- 変えるのは1つだけ。足のはばではかり、それぞれの方法を3回ずつ飛ばします。
- 先に予想して、結果とくらべ、子ども自身にわけを説明してもらいます。
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