世代をこえて語りつがれるパズルには、ちゃんとわけがあります。はじめは解けそうにないのに、小さな気づきがひとつ生まれると、すべてがぴたりと収まる。そんな場面があるからです。10〜12歳ごろのお子さんは、こういうパズルに挑戦できる時期にさしかかっていることが多いものです。いくつもの事実を頭に置き、それぞれに照らして考えをためし、自分の答えが正しい理由を説明できるようになってきます。いつものことですが、成長のペースは一人ひとり違うので、年齢はあくまでおおよその目安にしてください。
ここでは、昔から親しまれてきた5問を、私たちの言葉で紹介します。どの問題にも、問い、やさしいものから強いものへと進む3つのヒント、順を追った解き方、おうちでできる遊び方をそえました。どの問題にも使える進め方があります。問題を2回読む。「確実にわかっていることは何だろう?」と考える。その確かなところから始める。それから初めて思いつきをためす。ヒントは1段階ずつ出して、次のヒントを出すまでに数分待ちましょう。
まちがったラベルの3つの箱
問題。 閉じた箱が3つあります。1つにはりんごだけ、1つにはオレンジだけ、1つには両方が入っています。箱にはラベルがついていて、「りんご」「オレンジ」「りんごとオレンジ」と書かれています。ところが、だれかがまちがえて、すべてのラベルがまちがっています。中を見ずに、1つの箱から果物を1つだけ取り出してもかまいません。3つのラベルを正しくつけ直すには、どうすればよいでしょう。
ヒント:
- ラベルがまちがっているということだけから、それぞれの箱について確実にわかることは何でしょう。
- 「りんごとオレンジ」のラベルの箱を見てください。その箱に入っているはずがないものは何でしょう。
- その箱には、1種類の果物しか入っていません。そこから1つ取り出せば、どちらかがわかります。
解き方。 「りんごとオレンジ」のラベルの箱から、果物を1つ取り出します。ラベルはまちがっているので、その箱には1種類の果物しか入っていません。たとえばオレンジが出てきたら、その箱はオレンジの箱です。次に「りんご」のラベルの箱を見ます。この箱はりんごではなく(ラベルがまちがっているから)、オレンジでもない(いま見つけたから)ので、両方入っています。最後の「オレンジ」のラベルの箱は、りんごの箱です。もしりんごが出てきたときは、同じ考え方を逆にたどれば解けます。
ためしてみよう。 袋か箱を3つ用意して、本物の果物か色紙で作ったボールを入れ、ラベルの代わりにふせんをはります。1人が箱に中身を入れて、すべてのラベルをまちがった箱にはり、もう1人が解きます。そのあと、役を交代しましょう。
3つのスイッチと1つの電球
問題。 閉じた部屋の外に、スイッチが3つあります。部屋の中の電球をつけるスイッチは、そのうちの1つだけです。スイッチは何度でも切りかえられますが、ドアを開けて部屋に入れるのは1回だけです。どのスイッチが電球につながっているか、どうすればわかるでしょう。(このパズルの電球は、しばらくつけていると熱くなる古いタイプです。)
ヒント:
- 部屋に入ったとき、電球はついているか、消えているかのどちらかです。それでは2つの場合しか区別できませんが、スイッチは3つあります。
- 電球には、ついていたあとに変わるものがほかにありませんか。
- 時間を使いましょう。部屋に入る前に、1つのスイッチをしばらくつけたままにします。
解き方。 スイッチ1を入れて、10分待ちます。スイッチ1を切って、スイッチ2を入れ、すぐに部屋に入ります。電球がついていれば、スイッチ2です。消えていて、さわると温かければ、スイッチ1です。消えていて、冷たければ、スイッチ3です。大切なのは、「つく」「消える」のほかに、3つ目の手がかりを見つけることです。
ためしてみよう。 本物の電球にさわってためすのはやめましょう。かわりに、ごっこ遊びで楽しんでください。1人がドアの向こうの「電球」になって、「ついている」「消えていて温かい」「消えていて冷たい」の3まいのカードを持ちます。ルールは、60数えるあいだ入れておいたスイッチは電球を温かくする、というものです。お子さんがどのスイッチを切りかえるかを声に出し、ドアを開けるのは1回だけです。
だれの誕生日?
問題。 友だちの誕生日は、次の8つの日付のどれかです。3月3日、3月6日、3月8日、4月2日、4月6日、5月3日、5月7日、5月8日。ミキさんは月だけを教えてもらい、ケンくんは日だけを教えてもらいました。そして、2人はこう話します。
- ケン:「ぼくには誕生日がわからないよ。」
- ミキ:「これでわかった!」
- ケン:「それなら、ぼくにもわかった。」
誕生日はいつでしょう。
ヒント:
- 日付を表にして書きましょう。月ごとに1行、日ごとに1列にします。
- 1回しか出てこない日はどれでしょう。ケンくんがその日を教えてもらっていたら、何と言ったでしょう。
- それらの日付を消します。すると、ミキさんはすぐにわかります。日付が1つだけ残る月はどれでしょう。
解き方。 2日と7日は、1回ずつしか出てきません。ケンくんが2日か7日を教えてもらっていたら、すぐに日付がわかったはずです。ところがケンくんは「わからない」と言ったので、4月2日と5月7日は消えます。残るのは、3月3日、6日、8日、4月6日、5月3日、8日です。ミキさんは「これでわかった」と言ったので、ミキさんの月は日付が1つだけ残る月です。3月は3つ、5月は2つですが、4月は1つだけです。誕生日は4月6日です。6日を教えてもらったケンくんも、ミキさんがわかったと聞いて、答えを見つけます。
ためしてみよう。 8つの日付をカードに書き、月ごとに行にして並べます。1人が月を1人の子に、日をもう1人の子にこっそり伝えてから、声に出して会話をします。そのあと、お子さんが自分で日付のリストを作り、答えが1つだけになるか確かめるのもよいでしょう。
8個のボールと2回のはかり
問題。 まったく同じに見えるボールが8個あります。1個だけ、ほかより少し重いボールです。皿が2つのてんびんがあり、使えるのは2回だけです。重いボールを見つけるには、どうすればよいでしょう。
ヒント:
- 1回はかると、結果は3通りあります。左がさがる、右がさがる、つりあう、です。
- すべてのボールをてんびんにのせなくてもかまいません。のせなかったボールも、手がかりをくれます。
- ボールを3つのグループに分けましょう。3個、3個、2個です。
解き方。 左右の皿に3個ずつのせ、2個はのせずに残します。てんびんがつりあえば、重いボールはのせなかった2個のどちらかなので、その2個をくらべます。どちらかがさがれば、重いボールはその3個の中にあります。1個ずつ皿にのせて、1個は残します。さがったほうが重いボールです。つりあったら、残した1個が重いボールです。
ためしてみよう。 ふたつきの同じ小さな容器を8個用意して、1つにだけコインを余分に入れておきます。ハンガーで作る手作りのてんびんがぴったりです(作り方は、この記事の「あわせて読みたい」にある記事を見てください)。そのあと、こうたずねてみましょう。「9個のボールだったら、2回でたりるかな?」(たります。3個ずつ3つのグループに分けます。)
暗やみのコイン
問題。 テーブルにコインが15枚あります。ちょうど5枚が表向きで、残りは裏向きです。目はかくされていて、どちらが上かは見ることも、さわってわかることもできません。コインを動かしたり、好きなコインをひっくり返したりできます。表向きのコインの数が同じになるように、コインを2つの山に分けるには、どうすればよいでしょう。
ヒント:
- 見えなくても、動かしたコインの数は数えられます。
- どこからとってもいいので、ちょうど5枚の山を1つ作りましょう。
- その小さな山のコインを、すべてひっくり返します。
解き方。 どれでもよいので5枚をとって小さな山を作り、その5枚をすべてひっくり返します。なぜうまくいくのでしょう。たとえば、とった5枚の中に表向きが2枚あったとします。すると、大きな山には、残りの表向き3枚が残ります。小さな山は、表が2枚で裏が3枚でしたが、ひっくり返すと、表が3枚で裏が2枚になります。これで、どちらの山も表向きは3枚です。お子さんといっしょに、ほかの場合(表が0枚のとき、5枚のとき)もためしてみましょう。結果はいつも同じです。
ためしてみよう。 コインと目かくしで、実際にやってみましょう。そのあと電気をつけて、数えます。見えていないのにうまくいくことに、お子さんはおどろいて、理由を知りたがることが多いものです。その「なぜ?」こそが、このパズルでいちばん大切なところです。
Dologiでも、テーマ「ろんり」のパズル「なんかい はかる?」が、問題4と同じ考え方を使います。ボールを3つのグループに分け、てんびんのかたむき方から推理します。
まとめ
- 古典的なロジックパズルは、10〜12歳の多くのお子さんに向いています。推理で解けて、答えの理由を説明できるからです。
- いつも「確実にわかっていることは何だろう?」から始めましょう。すべてのラベルがまちがっている、電球は温かくなる、1回しか出てこない日、といった手がかりです。
- ヒントは、問いかけからあと押しへと、1段階ずつ出します。次のヒントの前に、お子さんが少し悩む時間をとりましょう。
- パズルは身近なものでためしてから、お子さんに、家族で遊べる自分だけの問題を作ってもらいましょう。
あわせて読みたい:てんびんパズル:重い・軽いを考える力
