小さな子がジグソーパズルをしているところを見てみましょう。ピースを手に取って当ててみて、合わなければくるくる回してまた当てる。何度もくり返すことがよくあります。少し大きな子は、すき間をちらっと見て、手の中でピースを一度回し、そのままぴたりとはめるかもしれません。何が変わったのでしょう?大きな子は、手で回す前に、頭の中でピースを回しはじめているのです。
この力は心的回転(メンタルローテーション)と呼ばれます。形を回したらどう見えるかを思いうかべる力です。空間認識力の一部で、年れいと練習とともに育ちます。この記事では、どんな力なのかと、家でできるかんたんな育て方を紹介します。
心的回転とは
形のイメージを頭の中にとどめておき、本物の物を回すように回して、どう見えるかをたしかめることです。
- 回すと、形の向きは変わりますが、同じ形のままです。
- 裏返す(鏡にうつすように)と、ちがう形になることがあります。L字を裏返すと反対向きのLになり、どう回しても元の形とは重なりません。
子どもにとっては、回すことのほうが、回した形と裏返した形を見分けることよりかんたんです。見分ける力はあとから育ち、小学校に入るころに身につくことが多いです。
大人を対象にした研究でよく知られた結果があります。形を大きく回す必要があるほど、2つの絵が同じかどうかを決めるのに時間がかかるのです。まるで頭の中で、少しずつ絵を回しているかのようです。
どんなことに役立つか
- パズルや積み木: ためす前に、ピースがどこに合うか見当をつける。
- 地図と方向: 自分の向いている方向に合わせて、頭の中で地図を回す。
- 学校での図形: かたむいて置かれた三角形や四角形に気づく。
- 毎日の生活: リュックに物をつめる、くつを箱にしまう、食卓をととのえる。
心的回転をふくむ空間の力は、練習でのびることがあります。家での短い遊びを続けるだけでも、ちがいが出てきます。
本物の物から始める
頭の中で形を回す前に、子どもには本物の物を回す経験がたくさん必要です。
- ジグソーパズルや型はめ: ピースを自由に回させましょう。していることを言葉にします。「もう少し回したら、ぴったりはまったね」。
- 積み木: かんたんな形を作り、となりに同じ形を、向きを変えて作ってもらいます。
- 切りぬいた形: 厚紙でL字、T字、かんたんな家の形を切りぬきます。テーブルの上で回しながら話しましょう。
「先に予想、それから回す」あそび
この遊びで、回すことが手から頭へうつっていきます。
- 厚紙の形のまわりを、紙にえんぴつでなぞります。
- 4分の1回転したらどう見えるか、子どもに予想してもらいます(時計の針が12から3へ動くような回し方です)。指さしても、言葉で言っても、絵にかいてもかまいません。
- 厚紙を回してたしかめます。 予想は当たったかな?
- 役を交代します: 子どもが形を回し、大人が予想します。
かんたんな形と4分の1回転から始めましょう。かんたんになってきたら、半回転や、角の多い形にちょうせんします。
回した?裏返した?
6さいごろからは、新しい質問を足してみましょう。
- 厚紙で同じL字を2つ切りぬき、1つを裏返して、表をテーブル側にします。
- 「これを回して、もう1つと同じにできる?」と聞きます。回すだけではできないことに、子どもは気づきます。
- 話してみましょう。「これは鏡みたいに裏返っているんだね。回してもなおらないね」。
これは、bとdのように、たがいに裏返しになっている文字の話にもつながります。
平らな形から立体へ
- 反対側から見る: 積み木で小さな塔を作り、「わたしの席からはどう見えると思う?」と聞きます。そのあと席を交代してたしかめます。
- おもちゃの写真: おもちゃを一方向から写真にとり、写真と同じになるまで子どもにおもちゃを回してもらいます。
- かげ: かい中電灯で物をてらし、ゆっくり回します。かげはどう変わるかな?
年れいに合わせた遊び
子どもの育ちはひとりひとりちがうので、年れいはあくまで目安です。
| 年れいの目安 | ためしたいこと |
|---|---|
| 4〜5さい | ジグソーパズル、型はめ、本物のピースを回してはめる |
| 5〜6さい | かんたんな厚紙の形と4分の1回転で「先に予想、それから回す」 |
| 6〜8さい | 半回転、回したか裏返したか、絵を見て積み木を組む |
| 8さい〜 | 部分の多い形、いろいろな方向から見た積み木の絵、地図を回す |
言葉は、空間について考える助けになります。
- 「4分の1回そう。時計の針が12から3へ動くみたいに」。
- 「同じ形だよ。向きがちがうだけ」。
- 「これは回したの?それとも裏返したの?」
Dologiの「くうかん」のテーマには、どのブロックが同じブロックを回しただけのものかをさがす「まわした ブロック」や、ほかと合わないブロックをひとつ見つける「ちがう ブロック」のパズルがあります。
まとめ
- 心的回転とは、形を回したらどう見えるかを思いうかべる力で、年れいと練習とともに育ちます。
- まずは本物の物を回すことから:ジグソーパズル、積み木、厚紙の形。
- 「先に予想、それから回す」で、予想してから紙を回してたしかめましょう。
- そのあと、回した形と裏返した形、ほかの方向から見た物の形も楽しみましょう。
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