遅かれ早かれ、九九は家にやってきます。楽しそうに唱える子もいれば、7 × 8 でつまずいて「ぼくは算数がにがて」と決めてしまう子もいます。そこで保護者の方は迷います。身につくまでくり返し練習させるべきか、それともゆっくり進めて説明するべきか。うれしいことに、どちらかを選ぶ必要はありません。最終的には九九を暗記することが必要ですが、意味がわかったうえで覚えると、ずっと思い出しやすく、ずっと長く覚えていられます。
この記事では、かんたんな順番を提案します。まず同じ数のまとまり、次にきまり、最後に記憶です。どのステップにも、家にあるものでできる活動がついています。
意味を先にする理由
「しちはごじゅうろく」を音の並びとして覚えただけの子は、その並びを忘れたとき、頼れるものがありません。7 × 8 が「8が7つ分」(または「7が8つ分」)だと知っている子は、答えを組み立て直せます。「7 × 8 は 7 × 4 の2倍で、7 × 4 は 28 だから、56」というふうにです。
意味がわかると、覚えることも少なくなります。1 × 1 から 10 × 10 までの表には100この式があります。3 × 4 と 4 × 3 の答えが同じだと気づくと、ちがう式は55こになります。かんたんな段(1の段、2の段、5の段、10の段)を除くと、覚える式は21こだけで、どれも 3、4、6、7、8、9 でできています。
ステップ1:同じ数のまとまり
かけ算は、同じ数のまとまりをすばやくたす方法です。記号を使う前に、お子さまにまとまりを作って数えてもらいましょう。
- おさらとおやつ。 おさらが4まい、それぞれにクラッカーが3まい。「ぜんぶでいくつ?」 はじめは1つずつ数えるかもしれません。そのうち「3、6、9、12」と数えるようになります。
- 卵のパック。 12こ入りのパックは、6こずつ2列です。卵やボタンやマカロニを入れて、「何列あるかな? 1列に何こかな?」と聞いてみましょう。
- 家の中のまとまり。 3台の自転車の車輪、4脚のいすの足、2つの手の指。「いくつのまとまり? 1つのまとまりにいくつ?」と聞いてみましょう。
次に、まとまりをきれいな列にならべます。ものを長方形にならべた、3列で1列に4こずつの形をアレイ(ならべた図)といいます。4分の1回すと、4列で1列に3こずつになりますが、ものの数はまったく同じです。この1つの図で、なぜ 3 × 4 = 4 × 3 になるのかがわかります。何度か見せてあげる価値があります。
ひとつだけ補足です。「3 × 4」の読み方は、国や教え方によってちがいます。日本の学校では「3が4つ分」と読むことが多いですが、「3つのまとまりが4こずつ」と読む場合もあります。どちらの読み方でも答えは12で、それこそがアレイが見せてくれることです。
ステップ2:きまりを見つける
まとまりの意味がわかったら、どの段にもそれぞれ近道があることに気づけるよう手助けしましょう。教えられるより自分で見つけるほうが役に立つので、説明する前に「何か気づいた?」と聞いてみてください。
| 段 | 気づきたいきまり | れい |
|---|---|---|
| 2の段 | 2倍。答えは偶数 | 2 × 8 = 8 + 8 = 16 |
| 10の段 | その数のうしろに0をつける | 10 × 6 = 60 |
| 5の段 | 10の段の半分。答えの一の位は5か0 | 5 × 8 は 80 の半分で 40 |
| 4の段 | 2倍して、もう一度2倍 | 4 × 7:14、そして 28 |
| 3の段 | 2の段にもう1つ分たす | 3 × 8 = 16 + 8 = 24 |
| 6の段 | 5の段にもう1つ分たす | 6 × 7 = 35 + 7 = 42 |
| 8の段 | 3回2倍する | 8 × 7:14、28、56 |
| 9の段 | 10の段から1つ分ひく | 9 × 6 = 60 − 6 = 54 |
9の段には、子どもたちが大好きなもうひとつのきまりがかくれています。9、18、27、36、45、54、63、72、81、90。十の位は1ずつ増え、一の位は1ずつ減ります。そして 18 から 90 までは、2つの数字をたすといつも9になります。
2とび、3とび、5とびで数える「とび数え」も、ここに入ります。階段を3とびで数えながらのぼったり、4つ目の数でだけ手をたたいたりしてみましょう。たし算とかけ算を、楽しくつなげてくれます。
ステップ3:そのあとで、少しずつ覚える
お子さまが式の意味をわかり、答えの出し方を持てたら、すばやく言えるようにする段階です。記憶は、長い時間ではなく、短くて規則正しい練習で育ちます。
- 一度に少しだけ。 週ごとに2つか3つ選びます。たとえば 6 × 7、7 × 8、6 × 8。お子さまがもう知っている式とまぜましょう。
- 5分で十分。 車の中やテーブルの準備のあいだに数問出すほうが、机で30分すわるより効果があります。
- サイコロのかけ算。 サイコロを2つふって、出た数をかけます。先に答えを言った人が1点。1つの段だけ練習したいときは、サイコロを1つふって、いつもその段の数(たとえば7)をかけます。
- 長方形で数を作る。 12こか24このボタンをわたして、「ちがう長方形はいくつ作れる?」と聞きます。12なら、1 × 12、2 × 6、3 × 4(と、それを横にしたもの)です。
- 「どうやって出したの?」と聞く。 考え方は共有する価値があります。お子さまが「6 × 7 は 42。6 × 6 が 36 で、あと6を1つたすから」と言えたら、それは本当の理解です。
- 「知っている式」リストを作る。 1つずつチェックしていくと進歩が見え、むずかしい21こがだんだん小さく感じられます。
避けたいこと
- 意味がわかる前のタイム計測。 速さのプレッシャーは子どもを不安にさせ、あてずっぽうに答えさせてしまいます。速さは自信のあとについてきます。
- 1つの式を探すために段を全部唱える。 「7、14、21…」と 7 × 8 まで唱えるのはよい出発点ですが、考え方を使うようにはげましましょう。
- くらべること。 九九を覚えるペースは子どもによってちがいます。かけ算に出会うのは小学校の低学年が多く、必要な時間は一人ひとりちがいます。
- 「わたしは算数がにがてだった」。 子どもは大人の態度を感じ取ります。かわりにこう言いましょう。「これはむずかしいね。いっしょに考えてみよう。」
Dologiの「さんすう」のテーマにある「かずの せんで ジャンプ」のパズルでは、数直線の上を同じ幅でジャンプするうさぎについていきます。1回のジャンプはいつも同じ大きさで、これがまさにとび数えです。かけ算へ向かう、小さくても役に立つ一歩です。
まとめ
- 九九の暗記は必要ですが、意味がわかったうえで覚えるほうが、記憶は長もちします。
- まず、身のまわりのものでできる同じ数のまとまりとアレイから始めましょう。アレイを回すと 3 × 4 = 4 × 3 だとわかります。
- 次に、それぞれの段のきまりを見つけます。忘れた式も、知っている式から組み立て直せます。
- 最後に、一度に少しずつ、短くて規則正しいあそびで練習します。タイマーは使いません。
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