たし算やひき算は問題なくできるのに、数の入った短いお話に出会うと固まってしまう。あるいは、目についた2つの数をさっとたして、意味のとおらない答えを書いてしまう。こうしたことは、とてもよくあります。文章題では、文を読み、小さな場面を理解し、どんな計算をするか選ぶことを一度にこなす必要があり、しかも計算そのものがいちばんやさしい部分であることも少なくありません。
この記事では、6歳から10歳くらいのお子さまとおうちで使える、簡単な流れを紹介します。お話を読む、問いと情報を見つける、場面を思いうかべる、答えを確かめる、の順です。どの学校の教え方とも合わせて使えます。
文章題でつまずく理由
- 数字が目に飛びこんでくる。 12 と 4 が見えると、何が起きているのかわかる前に計算を始めてしまいます。
- キーワードが道をまちがえさせることがある。 「多い」ならたし算、「のこり」ならひき算、と覚える子もいます。うまくいくこともありますが、こんな問題ではうまくいきません。「けんたはビー玉を9こ持っています。これはゆうとより3こ多い数です。ゆうとは何こ持っていますか。」「多い」という言葉はありますが、答えはひき算で、9 − 3 = 6 です。
- 読むことで精いっぱいになる。 まだ読むのがゆっくりな子は、文字を追うだけで力を使いきってしまい、意味が頭からぬけ落ちます。
- 問いが最後にある。 そこにたどりついたころには、はじめのほうを忘れています。
これは、お子さまが「算数がにがて」という意味ではありません。入り口になる手がかりが必要なだけです。
ステップ1:お話として読む
問題を2回読みます。1回目は鉛筆を持たずに、お話として聞くだけです。読むのがゆっくりなお子さまには、読んであげてください。ここでの目的は理解で、読む練習ではありません。
次に、数を使わずに、お子さま自身の言葉でお話をもう一度言ってもらいます。
- 「だれが出てくる?」
- 「何が起きた?」
- 「何を知りたいのかな?」
たとえば、「たろうはシールを12まい持っています。妹に4まいあげて、そのあと5まい買いました。たろうのシールは、いま何まいですか。」という問題なら、上手な言い直しはこうなります。「たろうはシールをいくつか持っていて、少しあげて、また少し手に入れた。さいごに何まいになるかを知りたい。」ここまで言えれば、いちばんむずかしいところは終わっています。
ステップ2:問いと情報を見つける
ここで鉛筆を持って、もう一度問題にもどります。
- 問いに線を引く。 たいていは最後の文です。2回目に先に読んでおくと、何を探せばよいかがわかります。
- 数にまるをつけ、それが何を表すかを言う。 「12」だけでなく「はじめの12まい」。「4」だけでなく「妹にあげた4まい」。
- いらない情報を消す。 問題によっては、シールの色や曜日のように、よけいな情報が入っています。それに気づけるのも、ひとつの力です。
| 数 | 何を表すか | ぜんぶの数は増える? へる? |
|---|---|---|
| 12 | はじめのシール | はじめ |
| 4 | 妹にあげた | へる |
| 5 | あとで買った | 増える |
こんな小さな表で十分です。これで2つの段階があることがわかります。12 − 4 = 8、そして 8 + 5 = 13 です。
ステップ3:思いうかべて、確かめる
計算の前に、場面を見えるようにしてあげましょう。小さいお子さまなら、実際に動かしてみます。ボタンを12こ机に置き、4こ遠ざけ、5こ足します。大きいお子さまなら、さっとかいた図で十分です。点や四角で、きれいな絵でなくてかまいません。
計算するまえに、だいたいの見当をつけてもらいます。「たろうのシールは、12まいより多くなるかな、少なくなるかな?」(あげたのが4まいで、もらったのが5まいだから、少しだけ多くなります。)見当があると、答えとくらべるものができます。
計算したあとは、お話にあてはめて確かめます。
- 単位をつけて、文で答える。 「たろうのシールは、いま13まいです。」「13」とだけ書くと、まちがいが見えなくなります。
- おかしくないか考える。 答えが 21 になったら、こう聞いてみましょう。「たろうは何まいかあげたよね。そんなに持っているかな?」
- 問いをもう一度読む。 たずねられたことに答えたかな、それとも別のことに答えたかな?
プリントなしで、おうちで練習する
日常の中で口頭で出す短い問題は、プリントを何枚もやるより、習慣づくりに向いています。
- 一日の中の問題。 「卵が6こあって、ケーキ1こに卵が2こいるよ。ケーキは何こ作れる?」お子さまに、どう考えたか説明してもらいましょう。
- 数のないお話。 「バスに子どもたちが乗っていました。次のバスていで、何人か乗ってきました。」そして聞きます。「このお話で、どんなことをたずねられるかな?」飛びつく数がないので、場面に目が向きます。数はあとから足します。
- お子さまが問題を作る。 10 − 3 などの式をひとつ出して、お話を作ってもらいます。そのあと交代します。大人が問題を作り、お子さまが解き、お子さまが大人の問題を確かめます。
- 同じ言葉、ちがう意味。 ときどき、上のビー玉の問題のように、似ているのにちがう計算が必要な2つの問題を出してみてください。キーワード探しではなく、ていねいに読む練習になります。
Dologiの「かぞえて こたえよう」のパズルは、言葉は短いのですが、問いはやはり大切です。「めが 2つで あしが 2ほんの ロボットは いくつ?」は、「ロボットは いくつ?」とはちがいます。答える前に問いを最後まで読む習慣を、やさしく身につける小さな練習になります。
もし読むこと自体がとてもむずかしそうなとき、あるいはむずかしさが長く続くときは、担任の先生に相談してください。読みの問題なのか、算数なのか、それとも練習が足りないだけなのかを、いっしょに考えてくれます。
まとめ
- 文章題は、読む、理解する、計算するをまぜたもので、計算がやさしい部分であることも多いです。
- まず鉛筆なしでお話を読み、数を使わずに言い直してもらいます。
- 問いに線を引き、それぞれの数が何を表すかを言い、いらない情報を消します。
- 思いうかべて、見当をつけ、文で答え、お話に合っているか確かめます。
あわせて読みたい:かいて分かる:文章題を図で考える力
