「くつをはいてって、もう3回言ったよ!」毎朝こう言っている保護者の方は多いのではないでしょうか。でも多くの場合、お子さまはわざと無視しているわけではありません。言葉は耳に入っていても、注意がほかのところに向いていたり、指示に一度に覚えきれないほどの内容が入っていたりするのです。きくことはひとつの力で、ほかの力と同じように練習で育ちます。うれしいことに、その練習はあそびにできます。
「聞こえる」と「きく」はちがう
聞こえるのは耳のはたらきです。きくのは、その音に対して頭がするはたらきです。音に気づき、注意を向け、少しのあいだ覚えておき、それから行動します。先生が「赤いノートを出して、いちばん後ろのページを開きましょう」と言ったとき、子どもにはこのすべてが一度に必要です。
きく力があると、子どもは次のようなことがしやすくなります。
- 指示に従う:家でも学校でも、何度も言われなくても動けます。
- 覚えておく:きいたことを、使うまでのあいだ覚えておけます。
- 会話に加わる:順番を待ち、きかれたことにきちんと答えます。
- 音を聞き分ける:文字やことばを覚えるときにも役立ちます。
年齢ごとによく見られる「きく力」
育ちのペースは一人ひとりちがいます。下の表は目標ではなく、おおよその目安として見てください。
| 年齢(目安) | 多くの子どもができること |
|---|---|
| 4〜5歳 | 1〜2つのかんたんな手順に従う(「ボールを拾って、箱に入れてね」) |
| 6〜7歳 | 3つの手順に従う、短いお話を順番どおりに話す |
| 8〜10歳 | 長めの説明についていく、いくつもの細かいことを覚える、言われていないことに気づく |
お子さまの聞こえ方が気になる場合、たとえば後ろからの音によく気づかない、音量をとても大きくしたがるといったときは、医師に相談してください。下のあそびは注意力の練習で、聞こえを調べるためのものではありません。
おうちでできる音あそび
特別な道具はいりません。1回5〜10分で十分です。
- なんの音かな? お子さまが目をつぶっているあいだに音を出します。かぎをじゃらじゃら、水を注ぐ音、紙をやぶる音、スプーンでコップをたたく音など。なんの音かを当てます。慣れてきたら2つの音を続けて出し、順番どおりに答えてもらいます。
- ひみつのミッション。 いくつかの手順がある指示を出します。「くつしたを1つ持ってきて、ドアにさわって、2回ジャンプしてね」。2つの手順から始め、かんたんになったら1つずつ増やします。はっきりと1回だけ言い、あとはお子さまにまかせます。
- 手拍子まねっこ。 短いリズムで手をたたきます。たとえば、ゆっくり、ゆっくり、はやい・はやい・はやい。お子さまが同じようにたたきます。役を交代して、お子さまにリズムを作ってもらいましょう。
- 音が止まったらストップ。 音楽を流すか、歌を口ずさみます。音が止まったら全員ストップ。アレンジ:高い音なら手を上に、低い音ならしゃがみます。
- なかまはずれのことば。 「りんご、バナナ、いす、ぶどう」のように短くことばを言い、どれがなかまはずれかたずねます。大きい子には、1つだけちがう音で始まることばの組み合わせにします。
- 音さがしのおさんぽ。 おさんぽ中や開けた窓のそばで1分間しずかにして、ちがう音がいくつ聞こえたか数えます。あとでおたがいのリストをくらべます。
| あそび | おもに育つ力 | 始めやすい年齢 |
|---|---|---|
| なんの音かな? | 音を聞き分ける | 4歳から |
| ひみつのミッション | 手順を順番に覚える | 4歳から |
| 手拍子まねっこ | 注意力、パターンを覚える | 4歳から |
| 音が止まったらストップ | 音の変化に反応する | 4歳から |
| なかまはずれのことば | 意味を考えながらきく | 5歳から |
| 音さがしのおさんぽ | 集中してきく | 5歳から |
きく力を助ける小さな習慣
- 近くに行って目を合わせてから話しかけましょう。別の部屋から呼ぶよりずっと伝わります。
- 1回だけ、はっきり、落ち着いて言いましょう。 いつも自動的にくり返していると、子どもは3回目まで待てばいいと覚えてしまいます。
- お子さまに言い直してもらいましょう。「やることは2つ、なんだったかな?」と聞くと、伝わったかどうかがわかります。
- まわりの音を小さくしましょう。 注意を向けてほしいときは、テレビやラジオ、別の機器の動画を止めます。
- 大人がよくきく姿を見せましょう。 子どもは見たことをまねします。お子さまが話しかけてきたときにスマートフォンを置くことは、どんなあそびよりも多くを伝えます。
- 短く、楽しく。 お子さまがまだやりたがっているうちに終わりにしましょう。
Dologiの「きく」のテーマには、メロディーをくらべたり、どこが変わったかに気づいたり、音を正しい順番で鳴らし直したりする短いパズルがあります。いっしょにやるのがいちばん楽しい上のあそびに、落ち着いてプラスできるものです。
まとめ
- きくことは、ただ聞こえることではなく、気づき、注意を向け、覚え、行動することです。
- おうちでの短い音あそびで、この力を育てられます。音当て、いくつもの手順があるミッション、リズムのまねっこがおすすめです。
- 近くに行き、1回だけ言い、言い直してもらい、まわりの音を小さくしましょう。
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